自動車・電車を利用した際のCO2排出量を計算する際、燃費(燃料消費率)を用いて計算したいケース、ありますよね。
CO2排出量の計算方法は、燃料法、トンキロ法等さまざま存在しますが、燃費を用いる方法は「燃費法」と呼ばれています。
この記事では燃費法の計算方法を紹介します。
目次
1. 自動車利用時の排出量
2. 電車利用時の排出量
3. まとめ
自動車利用時の排出量
ここでは、「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.9) (令和5年4月)」(環境省・経産省)(pⅡ-28)を参考にガソリン車について計算していきます。
家庭や企業等において、利用者が専ら自らの目的のために利用する自動車(乗用車、貨物車、バス、二輪車)を対象とした算出方法は以下のとおりです。
(人や貨物を運搬することで対価を得ることを目的としての自動車利用(タクシー、路線バス等の公共交通機関、宅配便等)は対象外です。)
ガソリン車の利用に伴うCO2 排出量(tCO2)
=走行距離(km)÷ 燃費(km/ℓ)÷ 1,000 × 単位発熱量(34.6 GJ/kℓ)× 排出係数(0.0183 tC/GJ)× 44/12
=走行距離(km)÷ 燃費(km/ℓ)÷ 1,000 × ガソリン使用に関する排出係数(2.32tCO2/kℓ)
・燃費:
実測燃費が不明な場合は「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」に規定されている数値を使用することができます。
・排出係数:
実測値(一定の精度が確保されている計量器による実測値)と文献値(公的機関や各業界団体などが公表している排出係数、排出原単位)の2種類があります。
今回は文献値(算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧)を利用します。
文献値の例
- 算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧(環境省・経済産業省発行)
- サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(環境省・経済産業省発行)
(参照:環境省 『カーボン・オフセット ガイドライン Ver.2.0』(令和 3 年 3 月 19 日改訂 平成 27 年 3 月 31 日施行) p24)
具体例を挙げて計算してみましょう。
燃費15.0km/ℓの社用車で150km移動した際のCO2排出量を計算します。
(図:弊協会作成)
走行距離(km)÷ 燃費(km/ℓ)÷ 1,000 × ガソリン使用に関する排出係数(2.32tCO2/kℓ)
=150km ÷ 15.0km/ℓ ÷ 1,000 × 2.32tCO2/kℓ
=0.01㎘ ×2.32tCO2/kℓ
=0.0232tCO2
=23.2kgCO2
よって、この場合のCO2排出量は23.2kgCO2です。
電車利用時の排出量
ここでは、「カーボン・オフセットの対象活動から生じる温室効果ガス排出量の算定方法ガイドライン(Ver.2.0)平成 23 年 4 月」(環境省)(p13)を参考に旅客鉄道について計算していきます。
旅客鉄道のCO2排出量を算定する際の基本的な考え方は以下のとおりです。
旅客鉄道の利用に伴う1人当たりのCO2排出量 = 旅客移動距離 × 燃料消費率 × CO2排出係数 |
・旅客移動距離:
各鉄道会社が公表している営業キロ(市販されている鉄道時刻表、乗換検索サイトを検索する、等で確認)を利用します。
・燃料消費率:
ガイドライン中に記載されている電力標準値( 0.065kWh/人・km)を使用します。
・CO2排出係数:
地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度で公表されている「電気事業者別排出係数一覧」の排出係数を利用します。電気事業者が特定できない場合は、一覧の最後に記載されている代替値を利用します。
(R3年度実績(R5.1.24 環境省・経済産業省公表 R5.5.24臨時修正版の代替え値=0.000441 t-CO2/kWh)
具体例を挙げて計算してみましょう。
新幹線で東京-新大阪間 552.6 kmを移動した際のCO2排出量を計算します。
(図:弊協会作成)
旅客移動距離(552.6km)× 燃料消費率(0.065kWh/km)× CO2排出係数(0.000441 t-CO2/kWh) =35.919kWh × 0.000441 tCO2/kWh =0.01584tCO2 =15.84kgCO2 |
よって、この場合の1人当たりのCO2排出量は15.84kgCO2です。
まとめ
いかがでしたか?この記事が、御社の課題解決の一助となれたなら幸いです。
環境エネルギー事業協会には、エネルギー管理の専門家が多数在籍しております。
CO2排出量の算定・削減方法ついて相談事がございましたら、是非弊協会へお問合せください。