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TCFDシナリオ分析の事例をステップごとに紹介!

目次

  1. シナリオ分析事例
    1. STEP1. 事前準備(ガバナンス整備)
    2. STEP2. リスク重要度の評価
    3. STEP3. シナリオ群の定義
    4. STEP4. リスク重要度の評価
    5. STEP5. 対応策の定義
    6. STEP6. 文書化と情報開示
  2. まとめ

TCFD提言に沿った情報開示の必要性が高まる昨今、シナリオ分析に取り組もうとされる企業様が増えているのではないでしょうか。
シナリオ分析には、主に6つのステップがあります。

【実践ガイド】TCFDシナリオ分析を6ステップで紹介

本コラムでは、環境省が2023年3月に発行した『TCFDを活用した経営戦略立案のススメメ ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド 2022年度版~』(以下、実践ガイド)をもとに、ステップごとに事例をご紹介していきます。

 

シナリオ分析事例

STEP1. 事前準備(ガバナンス整備)

① 経営陣の理解の獲得
② 分析実施体制の構築
③ 分析対象の設定
④ 分析時間軸の設定

日本製紙グループ

「③ 分析対象の設定」について、事業ポートフォリオを用いて国内の「紙・板紙事業」「特殊紙事業」「家庭紙・ヘルスケア事業」「ケミカル事業」を選定しています。

(出典:環境省 実践ガイド) 

STEP2. リスク重要度の評価

① リスク項目の列挙
② 事業インパクトの定性化
③ リスク重要度評価

マルハニチログループ

リスクを分類・リスト化し、それらのリスク・機会が現実のものとなった場合に自社事業に対してどれほどの大きさのインパクトがあるかを軸に、リスク重要度を評価しています。

(出典:環境省 実践ガイド) 

STEP3. シナリオ群の定義

① シナリオの選択
② 関連パラメータの将来情報の入手
③ ステークホルダーを意識した世界観の整理

日本製紙グループ

1.5℃シナリオと4℃シナリオを用い、自社を取り巻く将来の世界観を鮮明にしています。

(出典:環境省 実践ガイド) 

STEP4. リスク重要度の評価

① リスク・機会が影響を及ぼす財務項目の把握
② 算定式の検討と財務的影響の試算 
③ 成り行きの財務項目とのギャップを把握

マルハニチログループ

各シナリオについて、リスク・機会が影響を及ぼす財務項目を把握し、試算したうえで、ウォーターフォールグラフを用いて最終的な営業利益を明示しています。視覚的にもインパクトのイメージが湧きやすいよう工夫されています。

(出典:環境省 実践ガイド) 

STEP5. 対応策の定義

① 自社のリスク・機会に関する対応状況の把握
② リスク対応・機会獲得のための今後の対応策の検討 
③ 社内体制の構築と具体的アクション、シナリオ分析の進め方の検討

SCSK株式会社

特定されたリスクと機会への対応策として、適用可能で現実的な選択肢を特定しています。

(出典:環境省 実践ガイド) 

STEP6. 文書化と情報開示

① TCFD 開示項目とシナリオ分析の関係性の記載
② 各ステップの検討結果の記載

STEP5 までに検討した内容を踏まえ、適切な文書化の上で情報開示をおこないます。日本においては、コーポレートガバナンス・コードの改訂により、プライム市場上場会社のTCFD 提言に基づく開示が要請されており、適切な開示の重要性が高まっています。また、2023 年 1 月末の金融庁による企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正案の公布・施行に伴い、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の記載欄が新設される等、財務情報との関係深堀が求められていることから、従来一般的であった統合報告書だけではなく有価証券報告書への開示事例も増加しています。

亀田製菓株式会社

有価証券報告書上の開示事例です。

(出典:環境省 実践ガイド) 

まとめ

いかがでしたか?

シナリオ分析のゴールは「気候変動課題の対応」と「企業価値の向上」の同時実現であり、成果の開示、経営層との対話というサイクルを継続的に実施することが重要です。
できるところからスタートし、 段階的に充実させていきましょう。
この記事がシナリオ分析に取り組む企業様のお役に立てれば幸いです。

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