畜産業がもたらす環境問題の解決策とは？

前回は、畜産業がもたらす環境問題について解説しました。
畜産業による環境問題の解決には、多角的なアプローチが必要です。温室効果ガスの排出削減、水質汚染の防止、生態系の保護を目指し、持続可能な畜産業のかたちを模索する必要があります。
では、具体的な解決策について解説していきます。

それぞれの解決策

温室効果ガス排出の削減

前回の記事でご説明した通り、世界の10%以上の排出量を占めており、畜産業における温室効果ガス排出の削減は、地球温暖化防止の鍵を握っていると言えます。
これには、飼育方法の改善、飼料の効率的な利用、そして代替肉の普及が重要です。
具体的には、家畜の飼料に特定の添加物を混ぜることで、メタン排出量を減らすことができます。そのような飼料を製造するスタートアップが国内外で販売を実証実験、販売をはじめています。
また、植物ベースの肉の代替製品の開発と普及は、畜産業に依存しない食文化の形成を促進します。

水質汚染の対策

工場式畜産による糞尿処理の改善は、水質汚染の大きな解決策です。最新の処理技術を導入することで、糞尿からの栄養流出を防ぎ、水質汚染を軽減することが可能です。
例えば、バイオガス発電では、動物の排泄物を有効利用し、同時にメタンガスの排出を減らすことが可能です。そういったソリューションを提供する企業が増えてきており、導入数も増えています。

生態系保護

畜産業に必要な土地の確保はしばしば森林破壊を引き起こします。したがって、土地の効率的な利用や持続可能な農法の導入が重要です。また、飼料作物の栽培における化学肥料や農薬の使用を減らすことも、生態系保護に寄与します。
発展途上国においては、国の規制や支援が一層重要です。一部の国では法整備やインセンティブ制度が整えられています。

スタートアップによる革新的取り組み

世界各地のスタートアップ企業は、畜産業の環境問題解決に向けて、革新的な技術やアイデアを提供しています。

代替肉の開発

アメリカやヨーロッパのスタートアップ企業では、植物ベースの肉や培養肉を用いた代替肉の開発が進んでいます。これらの製品は、動物を飼育することなく、肉と同等の食感や味を提供します。Beyond MeatやImpossible Foodsなどがその代表例です。

(出所：Impossible foodsのホームページ)

新しい飼料の開発

オランダのProtixは、昆虫を飼料として活用し、持続可能な動物タンパク質の生産に注力しています。また、アメリカのスタートアップCalystaは、天然ガスを利用して微生物を飼料として栽培する技術を開発しました。
そういった技術はまだコストが高いため、結果的に価格がまだ高い状況が続いています。価格低下が普及における一つの鍵と言えます。

(出所：Protixのホームページ)

温室効果ガス排出の削減

メタン排出を減らすための新技術も開発されています。例えば、カナダの企業Mootralは、牛のメタン排出を削減する天然の飼料添加物を開発しています。

まとめ

いかがでしたか。
畜産業による環境問題は深刻ですが、多角的なアプローチと革新的な技術により、大幅に軽減することが可能です。スタートアップによる画期的な取り組みは、持続可能な未来への一歩となるでしょう。

2050年のカーボンニュートラルに向けて、大手企業を中心にCO2ゼロに向けた目標が設定され、それらの企業と取引をする会社にも影響が波及しています。
弊社では、お客様ごとに丁寧なヒアリングを行い、フルオーダーメイドで脱炭素化計画のご提案をしております。
CO2排出量の算定（Scope1,2,3）、2030年あるいは2050年を見据えたCO2削減ロードマップの策定、毎年の設備予算化や実行までを一貫してご支援致します。ご興味を持たれましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

ブログ

目次