お問い合わせ

MENU

コラムCOLUMN

第三者検証/保証

【2025年】 第三者検証 の進め方・実践ガイド(サステナビリティ情報、GHG排出量)

更新日:2025.07.20


 

本記事では、ISO規格に基づいた 第三者検証 の実際の進め方について、各ステップの実践的なポイントをわかりやすく解説していきます。
サステナビリティ情報(GHG排出量等)の第三者検証の実施を検討されている事業者様が、検証の大まかな進め方や、検証機関の役割を理解するお力になれれば幸いです。

 

 


 

目次

 

1. はじめに

2. 国際基準の概要

3. 第三者検証の具体的なステップ

3-1. 検証プロセスについての合意形成(前工程)

3-2. 検証計画の策定(前工程)

3-3. 妥当性の評価

3-4. データの取得方法・保管体制の評価

3-5. 基準に基づく評価

3-6. GHG主張の評価

3-7. 検証声明書の発行(後工程)

4. まとめ

 


 

1. はじめに

 

GHG排出量の第三者検証は、情報の透明性と信頼性を担保するための重要なプロセスです。
また、CDPなどのイニシアティブも第三者検証を推奨しており、企業や組織にとって環境情報の正確な開示は今や必須となっています。
本記事では、ISO規格に基づいた第三者検証の具体的な進め方について、実践的なポイントを解説します。

 

(出典:環境省「温室効果ガス排出量の算定と検証について(ISO14064, 14065関連)」平成23年3月資料 2023年8月4日閲覧)  

 

関連記事:【第三者保証:サステナビリティ情報・GHG排出量】全企業が対象?義務化はいつから始まる?

 


 

2. 国際基準の概要

 

第三者検証においては、検証の目的や対象範囲に応じた基準が必要です。
ISO規格は、国際的に統一されたGHG算定や検証のルールを提供しており、以下のような規格が存在します。

 

● ISO14064-1:組織におけるGHG算定ルール

● ISO14064-2:プロジェクト別の排出削減・吸収量算定ルール

● ISO14064-3:GHG算定の妥当性確認・検証ルール

● ISO14065 :検証機関に対する要求事項

 

特に、ISO14064-3とISO14065は第三者検証の実務において重要な枠組みとなっています。
また、環境省が実施するSHIFT事業でも、ISO14065に基づく認定または申請受理が検証機関の条件となっており、CDPもISO14064-3を認定基準の一つとして採用しています。

 


 

3. 第三者検証の具体的なステップ

 

具体的な検証のステップを見ていきます。
データの信頼性・透明性を確保するためには複数の観点・工程からデータを検証する必要があるため、検証作業を行う前に、「どのルールで」「どの範囲を対象に」「どのぐらいの信頼性の」検証を行うのか検証プロセスを決定する必要があります。

その後定めたプロセスに基づいた検証を行い、最終成果物として「検証声明書」を発行します。


検証の各工程

1. 検証プロセスについての合意形成(前工程)

2. 検証計画の策定(前工程)

3. 妥当性の評価

4. データの取得方法・保管体制の評価

5. 基準に基づく評価

6.GHG主張の評価

7. 検証声明書の発行(後工程)

 

(出典:環境省「温室効果ガス排出量の算定と検証について(ISO14064, 14065関連)」平成23年3月資料 2023年8月4日閲覧) 

 


 

3-1. 検証プロセスについての合意形成(前工程)

 

検証プロセスの第一歩は、検証機関と事業者との間で合意形成を行うことです。
「どのルールで」「どの範囲を対象に」「どれぐらいの信頼性の」検証を行うかを決定します。

 

● 保証水準

○ 「合理的保証」:高い信頼性を求める検証(時間・コストが増大)
○ 「限定的保証」:情報公開の目的に応じた検証

● 目標:検証実施の目的。何のために検証を行うのか
● 基準:どのルールや規格に基づくか
● 範囲:どの範囲の算定を検証の対象にするか(組織境界、活動境界、Scopeなど)
● 重要性

 

 

(出典:環境省「温室効果ガス排出量の算定と検証について(ISO14064, 14065関連)」平成23年3月資料 2023年8月4日閲覧)

 


 

3-2. 検証計画の策定(前工程)

 

次に、具体的な検証計画を立案します。

●検証計画の立案
●サンプリング計画の作成

 


 

3-3. 妥当性の評価

 

合意形成・計画策定を終えた後、実際の検証作業に進みます。まずはデータの妥当性の検証を行います。

 

検証テストの例:

● 伝票突合せ:請求書等の根拠書類を確認
● 算定結果の再検証:転記ミスや計算方法の正確性をチェック
● データ見直し:報告情報の抜けや誤記を確認
● 書面裏付け:計量器の校正記録などの取得


クロスチェックの手法:

● 過去の実績データとの照合による妥当性評価

 


 

3-4. データの取得方法・保管体制の評価

 

検証では、単なる正確性にとどまらず、データが適切に管理・収集されているかも評価します。

ここでは、情報システムの統制状況と、データの取得方法や保管体制を徹底的に確認します。

 

 

(出典:環境省「温室効果ガス排出量の算定と検証について(ISO14064, 14065関連)」平成23年3月資料 2023年8月4日閲覧)

 


 

3-5. 基準に基づく評価

 

検証対象の手法やプロセスが、承認された規格やGHGプログラムのルールに則っているか評価します。

 


 

3-6. GHG主張の評価

 

事業者が主張する排出量や削減効果が、実際のパフォーマンスを反映しているかを確認します。

評価項目としては、完全性、一貫性、正確性、透明性が挙げられます。

 


 

3-7. 検証声明書の発行(後工程)

 

最終的に、検証結果を基に検証声明書を作成・発行します。
報告書は、検証プロセスがISO規格に基づいて実施されたことを明示し、信頼性の高い証拠となります。

 

検証声明書の例

 

 

(出典:当協会HP 「サステナビリティ情報の第三者保証」

 


 

. まとめ

 

第三者検証の検証プロセスにおいて最も重要なのは、「目的を明確にする」ことです。情報公開の目的に応じて、検証内容やコストが変動します。
まずは自社の目的を整理し、そのうえで検証機関と連携することで、より信頼性が高く、さらに自社にとってメリットが高い環境情報の開示が実現します。

 

弊協会では、各事業者の業種や状況に応じた目的の整理から、検証の実施~検証声明書の発行まで、第三者検証に関わる業務サポートをトータルで行っております。

ご不明点やご相談は、ぜひお気軽にお問合せください。(ご相談無料)

 

 

【お問い合わせ先】

環境エネルギー事業協会 支援部

tel:06-7878-5274

mail:info@ene.or.jp

 

 

【関連記事】

 ・【 省エネ法 】対象になる事業者の条件と報告義務について解説

 ・省エネ法 の「事業者クラス別評価制度」でよい評価を取る方法・コツ

 ・【第三者保証:サステナビリティ情報・GHG排出量】全企業が対象?義務化はいつから始まる?

 ・【GHG排出量】 第三者検証 で企業価値が向上―CDPスコアアップに直結する理由

一覧に戻る

ページトップ

資料ダウンロードDOWNLOAD

サステナビリティ情報の第三者検証・保証について、実務者向けガイドブックを無料でダウンロードいただけます。

第三者検証ガイドブック

お問い合わせCONTACT

ご質問・見積依頼・資料請求など、お気軽にお問い合わせください。