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【 第三者保証 :サステナビリティ情報・GHG排出量】全企業が対象?義務化はいつから始まる?
更新日:2025.10.06

近年、企業のサステナビリティ対策に関する規制や情報開示の要求が高まる中で、開示情報の正確性担保が今や必須となっています。情報の透明性・信頼性確保の手段である第三者保証について、一定の条件を満たす企業では実施の義務化が予定されており、具体的な義務化のスケジュールも公表されています。
本記事では、第三者保証の概要と、実施が義務付けられる企業の条件、および義務化までの具体的なスケジュールを分かりやすく解説していきます。

目次
1. 第三者保証とは?
第三者保証とは、企業が開示するサステナビリティ情報に対し、独立した第三者がデータの収集、管理、報告プロセスを客観的に評価する仕組みです。
この保証を通じて、企業内部だけでは把握しきれない視点からのフィードバックが得られ、信頼性や透明性が大幅に向上します。
国内外において第三者保証の義務化に向けた議論がさかんに行われており、東京証券取引所のTCFD開示実質義務化や「CDPサプライチェーンプログラム」の導入により、大企業のみならず中小企業にも開示のプレッシャーが高まっています。
2. 第三者保証の実施が義務付けられる企業
結論から申しますと、将来的には東証プライム市場上場の全企業を対象に、有価証券報告書による実施が義務化される予定です。
温室効果ガス排出量を含めたサステナビリティ関連の情報開示については、金融庁によって検討が進められており、現状は下記の適用条件・時期が示されています。
● 時価総額3兆円以上の企業:2027年3月から開示の義務化
● 時価総額1兆円以上の企業:2027年3月から開示の義務化
● 時価総額5000億円以上の企業:2027年3月から開示の義務化
● 東証プライム全企業:2030年代から開示の義務化
また、開示情報に対する保証(第三者保証)は、開示義務化の翌年から義務付けられるため、2028年3月以降、段階的に義務化されることになります。

(出典:金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」)
各企業においては、検証機関と義務化の適用前にコンタクトを取り、必要な業務を洗い出し、義務化の1~2年前から検証を受けるなど、スムーズに対応できるよう事前に準備を行うことが重要となります。
3. 第三者保証の具体的なスケジュールとプロセス
例として、3月決算の企業における第三者保証の開始~終了までの代表的なスケジュールを解説します。

開始から終了(保証声明書の発行)まで、3~6か月かかることが一般的であり、事前資料の準備、計画策定、調査実施、是正処置、保証声明書の発行など複数の工程を経て完了します。
実施期限としては、義務化の適用以降は、有価証券報告書の期限である6月末までに完了し、第三者保証の結果を含めた有価証券報告書を提出する必要があります。
4. まとめ
本記事では、第三者保証の義務化が適用される企業の条件と、具体的なスケジュールについて解説しました。
東証プライム企業においては、2025~2030年の間で開示・保証が義務化されるため、対応を進めることが必須です。検証にかかる費用や期間を把握するためにも、事前に検証機関に相談し、余裕を持って進めていくことが重要となります。
弊協会では、各事業者の業種や状況に応じた目的の整理から、検証計画の策定~検証声明書の発行まで、第三者検証に関わる業務サポートをトータルで行っております。ご不明点やご相談は、ぜひお気軽にお問合せください。(ご相談無料)
【お問い合わせ先】
環境エネルギー事業協会 支援部
tel:06-7878-5274
mail:info@ene.or.jp
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