省エネ法の中長期計画書をまとめなければいけないが、あまり理解できていないし、忙しくてまだなにも手を付けられていないという方が非常に多いかと思います。
今回は、環境エネルギー事業協会のエネルギー管理士である植杉が、省エネ法に基づく定期報告書の概要から進め方まで丁寧に解説します。
目次
- 省エネ法の中長期計画とは
- 【義務なの?】誰がやらなければいけないのか
- 「中長期計画作成指針」に基づいて作成する
- 省エネ取組の優良事業者は提出免除がある?
- 進め方
- まとめ
省エネ法の中長期計画書とは
省エネ法に基づく中長期計画書とは、特定事業者、特定連鎖化事業者及び認定管理統括事業者が毎年度、定められた判断基準に基づいてエネルギー使用合理化の目標達成のための中長期的な計画を作成し、提出することを義務付けられている報告書です。
また中長期の期間については、「3〜5年」と記載されています。
この報告書は翌年度7月末日までに事業所の所在地を管轄する経済産業局などに提出します。
もし提出を怠った場合、虚偽の報告をした場合は、法人に対して50万円以下の罰金が課せられます。(省エネ法第171条)
参考:省エネルギー法 定期報告書・中長期計画書 (特定事業者等)記入要領より
対象者は?義務化されている事業者
提出対象となる事業者は省エネ法で定められた「特定事業者」「特定連鎖化事業者」「認定管理統括事業者」に指定された事業所となります。(省エネ法:第7条、第18条、第29条)
具体的には、事業者・連鎖化事業者ごとの年度間のエネルギー使用量が1500㎘以上の事業者が、「特定事業者」・「特定連鎖化事業者」に指定されます。
参照:工場省エネ推進の手引き
「中長期計画作成指針」に基づいて作成する
中長期計画は、「中長期的な計画の作成のための指針」(中長期計画作成指針)に基づいて作成されることになっております。
また、中長期計画作成指針とは、特定事業者等による省エネ法第15条に定められた中長期計画の的確な作成に資するためのものとして決められた指針になります。
業種4種類ごとに項目が分けられております。
以下が4種類の業種になります。
- 専ら事務所
- 製造業
- 鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業
- 上水道業、下水道業及び廃棄物処理業
参照:省エネ法関連法令
省エネ取組の優良事業者は提出免除がある?
省エネの取り組み結果によっては、提出の免除が存在するのでしょうか。結論、取り組みが優れていた事業者については、中長期計画の提出頻度が軽減されます。具体的には、「工場等規制において、直近過去2年度以上連続でS評価の場合は、翌年度以降、最後に提出した中長期計画の計画期間内(5年が上限)は、S評価を継続している限りにおいて、中長期計画の提出を免除する」と定められております。
参照:工場の省エネ推進の手引き
進め方
作成に必要なフォーマットを手に入れる
まずは様式をダウンロードしましょう。経済産業省 資源エネルギー庁のサイトに様式がまとめられております。こちらから必要な書類をダウンロードします。
次に「工場の省エネ推進の手引き」をダウンロードし、この説明に沿って書類の作成を進めていきます。
計画書を作成する
4種類の業種(「専ら事務所」「製造業」「鉱業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業」「上水道業、下水道業及び廃棄物処理業」)から該当する業種を特定します。その後、各業種の「中長期的な計画の作成のための指針」に基づいて計画を立てていきます。
指針には計画作成における具体的な検討対象となる投資すべき設備等が記載されております。
書類完成・提出
完成次第、提出準備を進めていきます。
提出先は、「主務大臣」となっており、事業所の所在地を管轄する経済産業局に提出します。
繰り返しになりますが、提出期限は毎年度の7月末日です。忘れずに提出しましょう。
まとめ
いかがでしたか。かなり複雑で大変な業務ではありますが、オンラインツールや資料をうまく活用して忘れずに提出しましょう。
多くの企業様が「忙しくて手が回らない」「やり方がよくわかっておらず、進めるのに時間がかかる」「本業にリソースを集中したい」といった課題を抱えられております。
環境エネルギー事業協会では、そういった事業者様の「省エネ法の対応」を支援させていただいております。ご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。