昨今、TCFD開示の必要性が高まっています。
「TCFD開示の準備を進める中でTCFDコンソーシアムの存在を知った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・TCFD開示をすればコンソーシアムに入会できるの?
・入会後は何をするの?会員になるメリットは何?
この記事でこれらの疑問にお答えします!
目次
1. TCFDコンソーシアムの概要
2. 入会のメリット
3. まとめ
TCFDコンソーシアムって何?
昨今、TCFD開示の必要性が高まっています。
「TCFD開示の準備を進める中でTCFDコンソーシアムの存在を知った」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
・TCFD開示をすればコンソーシアムに入会できるの?
・入会後は何をするの?会員になるメリットは何?
この記事でこれらの疑問にお答えします!
TCFDコンソーシアムの概要
TCFDとTCFDコンソーシアムの関係
まずはじめに、TCFDとTCFDコンソーシアムの違い(関係)を整理します。
TCFD |
TCFDコンソーシアム |
|
設立 |
2015年 |
2019年 |
設立背景 |
G20財務大臣及び中央銀行総裁の意向を受け、金融安定理事会(FSB)が設立。 (※1) |
TCFD提言への対応に向けた機運の高まりを受け、一橋大学大学院・伊藤邦雄特任教授を始めとする計5名が発起人となり設立。(※1) |
活動内容 その他 |
気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討。 最終報告書(TCFD提言)の公表。 |
TCFD提言へ賛同する企業や金融機関等が一体となって取組を推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組について議論。 このような取組がグローバル市場においても評価されるよう、国際的な議論への参加や情報発信にも積極的に取り組む。(※1) TCFDに賛同する企業や金融機関が集まり、民間主導でTCFDへの対応を推進していくための組織。経済産業省・金融庁・環境省もオブザーバーとして参加。(※2) |
国 |
グローバル |
日本 |
※1 参考:TCFDコンソーシアム 2023年6月6日閲覧
※2 参考:資源エネルギー庁「企業の環境活動を金融を通じてうながす新たな取り組み「TCFD」とは?」 2023年6月6日閲覧
TCFDは、2017年6月に最終報告書を公表する等、企業等に対し気候変動関連の情報開示を推奨している主体です。
これに対しTCFDコンソーシアムは、TCFD提言への対応に向けた気運の高まりを受けて日本で設立された集団です。企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組について議論を行うことを目的としています。
TCFDコンソーシアムの構成と活動内容
TCFDコンソーシアムは主に総会、企画委員会、ワーキング・グループ(WG)(情報開示WG、情報活用WG)及びラウンドテーブルで構成されています。
(図出典:TCFDコンソーシアム 2023年6月5日閲覧)
総会は会員企業が参加し、WGでの議論の結果共有や規約改定等の重要事項を決定します。
企画委員会では、企画委員がTCFDコンソーシアムの活動方針等について議論を行います。
WGは全ての会員企業を対象に開催されます。その他、事務局からTCFDに関わる情報提供等も行われます。
「TCFDへの賛同と開示」=「TCFDコンソーシアム入会」?
TCFDへの賛同を示し開示を行なった日本企業は、TCFDコンソーシアムに入会しなくてはならないのでしょうか?答えは「ノー」です。入会を希望する法人(時に個人)が、入会手続きを経て会員となります。
TCFDコンソーシアムの規約には、こう書かれています。
(会員) 第4条 コンソーシアムは、コンソーシアムの目的及び事業に賛同する法人であって TCFD提言に賛同する法人(外国親法人が賛同している日本法人を含む。)又はコンソーシアムの会長がその活動に寄与すると認めた有識者等を会員とする。 (入会) 第5条 会員になろうとする者は、入会申込書を会長に提出し、その承認を得て会員になることができる。 (出典:TCFD コンソーシアム規約 第2章 会員 2023年6月6日閲覧) |
入会のメリット
TCFDコンソーシアム入会のメリットは何でしょうか?
TCFDコンソーシアムの事業は以下の通りです。
- TCFD 提言に基づく情報開示の推進に係る事業
- 上記により開示された情報の活用に係る事業
- 国内外の TCFD に関する情報の収集・発信、普及・啓発
- その他コンソーシアムの目的を達成するために必要な事業
(参考:TCFD コンソーシアム規約 第1章 総則 2023年6月6日閲覧)
前述のとおり会員は総会・WGへの参加(=議論への参加)、事務局からのTCFDに関わる情報提供を受けることができます。
これらのことから、TCFDコンソーシアム入会のメリットは、以下だと言えます。
- 技術・知識の共有。会員は、TCFD開示に関する最新の情報にアクセスし、相互に学び合う事が可能です。
- 共有で得た知見を自社の事業・情報開示に活かすことで、試行錯誤の工数やコストの削減が可能です。
- 共有で得た知見を自社の事業・情報開示に活かすことは、市場の参加者に対してより包括的な情報を提供することにつながります。
- TCFDコンソーシアムは2020年7月「TCFDガイダンス2.0」、2022年10月「TCFDガイダンス3.0」、2021年10月「グリーン投資ガイダンス2.0」を策定しています。会員は、ガイダンスの策定や普及において影響力をもつことが可能です。
- 企業や金融機関、政府機関、市民団体など異なるステークホルダーとのつながりを築く機会を得ることが可能です。
まとめ
いかがでしたか?
TCFDコンソーシアムは、日本国内でTCFD開示に関する知見を共有できる場です。
その知見と他団体とのつながりを活かすことで、様々なメリットがあります。
この記事が、御社の課題解決の一助となれたなら幸いです。