気候変動対策が推進されている金融セクターでは様々な取り組みが推進されています。
今回はグリーンボンドの現状、メリットやデメリットについて解説していきます。
グリーンボンドとは?その登場背景と各者のメリット
グリーンボンドは、気候変動対策や環境改善プロジェクトの資金調達に特化した債券です。これらは、持続可能な投資を求める投資家と、環境に配慮したプロジェクトを推進したい発行体の両方にメリットを提供します。
Hadaś-Dyduch et al.(2022)の研究によると、発行体にとってのメリットは、ESG(環境・社会・企業統治)課題への対応の証明、発行規模の拡大可能性、投資家層の多様化、市場でのボラティリティ低下、レピュテーション効果などが挙げられます。これにより、環境課題に対する実践的な取り組みが可視化され、企業の社会的評価の向上にも寄与します。
投資家にとっては、リスク調整後の財務リターンに環境便益を加味することができ、ESG要件の遵守、気候政策リスクの積極的なヘッジ、発行体とのESGに関するエンゲージメントと対話の機会などがメリットとして挙げられます。一方で、市場の小ささに起因する流動性の低さや、統一されたグリーン基準の欠如による評判リスクが懸念されます。
参照:内閣府経済社会総合研究所
グリーンボンドの課題と投資家への影響
しかし、グリーンボンド発行には管理、認証、報告、検証、モニタリングといったプロセスにかかるコストや、グリーンなプロジェクトであるという資格に疑問が生じた場合のレピュテーションリスクなどのデメリットも存在します。 グローバルでグリーンボンドの発行数は増えているものの、まだ実施するコストが高いのが現状です。
(出所:環境省)
国際的な動きと日本の金融機関の取り組み
グリーンボンドは、国際的な気候変動対策の流れの中で重要性を増しており、多くの国際的イニシアティブが設立されています。特に注目されているのが、ネットゼロバンキングアライアンス(NZBA)やグラスゴー金融同盟(GFANZ)であり、金融機関が自らの投融資活動を通じて温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しています。日本の大手銀行もこれらのアライアンスに加盟し、2050年までのカーボンニュートラル(CN)を宣言するなど、積極的な取り組みを進めています。
グリーンボンドを巡る今後の展望
グリーンボンド市場は今後も成長を続けると予想されますが、そのためには流動性の向上や基準の統一、プロセスのコスト改善など、いくつかの課題を解決する必要があります。金融機関、発行体、投資家が連携し、透明性の高い基準設定と共有、およびグリーンプロジェクトの実質的な成果の追求が求められています。気候変動問題への対応は、金融の世界でも避けて通れないテーマとなっており、グリーンボンドはその解決策の一つとして、今後も注目されることでしょう。
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