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脱炭素化計画支援

【解説】SHIFT事業とは?中小企業の脱炭素化を支援

更新日:2024.12.01

脱炭素化の必要性が高まる昨今、工場や事業場の設備を、環境負荷が低いものに更新したいとお考えの事業者様が増えているのではないでしょうか。

「脱炭素化、SBTへの取組の必要性を感じているが、工場・事業場で具体的にどんな対策を行えば良いか分からない。」
「費用がかかりそうで一歩踏み出せない。」

そんなときに検討いただきたいのが、環境省が実施している「SHIFT事業」です。SHIFT事業は、工場・事業場での脱炭素化のロールモデルとなる取組(削減目標の設定、削減計画の策定、設備更新・電化・燃料転換・運用改善の実施)を国が支援する取り組みです。

目次

  1. SHIFT事業とは
    1)概要

    2)応募(交付申請)
  2. 過去の実施内容
    1)
    CO2削減計画策定支援

    2)省CO2型設備更新支援
  3. まとめ

1.SHIFT事業とは

1)概要

SHIFT事業は、環境省が実施している補助事業です。

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業:Support for High-efficiency Installations for Facilities with Targets)は、工場・事業場での脱炭素化のロールモデルとなる取組を創出し、その知見を広く公表して横展開を図り、我が国の2030年度温室効果ガス削減目標の達成や2050年カーボンニュートラルの実現に貢献することを目的として、意欲的なエネルギー起源CO₂削減目標を盛り込んだ脱炭素化促進計画を策定する事業(脱炭素化促進計画策定支援事業。以下「計画策定支援事業」という。)及び脱炭素化促進計画に基づき高効率機器導入・電化・燃料転換・運用改善を実施してCO₂排出量を削減し、排出量の算定及び排出枠の償却を行う事業(設備更新補助事業)に対して補助金を交付する事業です。
(出典:環境省 SHIFT事業特設サイト 2023年9月6日閲覧)


(出所:環境省 
令和5年度 SHIFT事業概要 2023年9月6日閲覧)

以下3つの間接補助事業と、1つの委託事業からなります。

①CO2削減計画策定支援(補助率: 3/4、補助上限: 100万円)
中小企業等による工場・事業場でのCO2削減目標・計画の策定を支援
※CO2排出量をクラウド上でリアルタイムで見える化し運用改善を行うDX型計画は、補助上限200万円


②省CO2型設備更新支援
A.標準事業
工場・事業場単位で15%以上又は主要なシステム単位で30%以上削減するCO2削減計画に基づく設備更新を補助 (補助率:1/3、補助上限:1億円)

B.大規模電化・燃料転換事業
主要なシステム単位でi)ⅱ)iii) の全てを満たすCO2削減計画に基づく設備更新を補助 (補助率: 1/3、補助上限:5億円)
ⅰ)電化・燃料転換
ⅱ)CO2排出量を4,000t-CO2/年以上削減
ⅲ)CO2排出量を30%以上削減


C.中小企業事業
中小企業等によるCO2削減計画に基づく設備更新に対し、以下のi)ⅱ)のうちいずれか低い額を補助 (補助上限:0.5億円)
ⅰ)年間CO2削減量×法定耐用年数×7,700円/t-CO2(円)
ⅱ)補助対象経費の1/2(円)


③企業間連携先進モデル支援(補助率:1/3、1/2、補助上限5億円)
Scope3削減目標を有する企業が主導し、複数サプライヤーの工場・事業場を対象とした計画策定・設備更新・実績評価を2カ年以内で行う取組を支援(金融機関も参画の場合は重点支援)

④補助事業の運営支援(委託)
CO2排出量の管理・取引システムの提供、実施結果の取りまとめ等を行う。
(出所:環境省 令和5年度 SHIFT事業概要 2023年9月6日閲覧)

この記事ではこの内、中小企業に関係が深い以下2つの事業について解説していきます。
①CO2削減計画策定支援
②省CO2型設備更新支援

まずは以下の資料をご覧ください。

(出所:環境省 令和5年度 SHIFT事業リーフレット 2023年9月6日閲覧)

①で計画を立て、②で計画をもとに設備更新を実施する、ということですね。応募要件は、ざっくりと以下の通りです。

①は、年間CO2排出量50t以上3000t未満の工場・事業場を保有する中小企業等であること。
②は、年間CO2排出量50t以上の工場・事業場に対してCO2削減計画を策定済みである事業者であること。

①のCO2削減計画策定支援を受けて策定した「CO2削減計画」を利用することで、②省CO2型設備更新支援の優先採択枠の対象となります。支援を受けた年度を含めて4カ年度以内の②省CO2型設備更新支援に応募できます。

②の支援を受けるためには「CO2削減計画」の策定が必須ですが、中小企業の事業者様にとっては、省エネや脱炭素化を専業とする者が社内におらず、計画を立てられないというケースも多いのではないでしょうか。

そんなときにSHIFT事業の「①CO2削減計画策定支援」を利用すれば、外部専門家の協力を得て計画を立てることができます。

①CO2削減計画策定支援を実施すると、支援機関より以下の成果物が得られます。

(1) 診断報告書
支援対象工場・事業場のエネルギー使用状況、課題、対策提案(CO2 削減効果、導入コストや運転コストを踏まえた運用改善や設備導入に関する提案、又は想定される課題や注意点)等をまとめた報告書。


(2) 実施計画書
診断報告書の中から、事業者の方針や要望に基づき選定された対策について、導入コスト、運用コスト、CO2 排出量削減等の導入効果を対策毎にまとめると共に、その実施を年度展開して整理した計画。


(3) 算定報告書
直近過去 3 年間に支援対象工場・事業場から排出された CO2排出量を、使用エネルギー毎に整理した書類です。過去 3 年間の値の平均値を上記実施計画書において対策実施前の基準年度排出量として扱います。なお、令和 4 年度(第 2 次補正予算)は、令和2年度から令和4年度の CO2排出量の平均値を基準年度排出量とします。なお、中小企業事業向け支援の場合は、令和 4 年度の 1年間の CO2 排出量だけでも可とします。算定報告書では、2.2 項に記載したエネルギー起源の CO2 以外に、工業プロセスから排出される非エネルギー起源の CO2 もある場合は、これも別途算定します。


(出典:環境省 
令和 4 年度(第 2 次補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 公募要領(令和5年3月) 2023年9月6日閲覧)

これらの成果物は、支援対象工場・事業場の CO2 削減対策、省エネ対策の実行に向けて大きく役立つ資料となります。自社のCO2排出量を把握できるという意味でも、非常に有意義です。

2)応募(交付申請)

SHIFT事業ウェブサイトの「公募情報」に、応募方法が掲載されています。
応募に当たり、まず初めに実施するのは支援機関の選定です。当協会では応募段階からのサポートが可能ですので、ご興味がありましたら是非一度お問い合わせください。
尚、令和5年9月現在、SHIFT事業の実施期間は「令和3~7年度」とされています。令和5年度は春に公募開始され、その後2次公募も実施されています。

<参考:令和5年度のスケジュール>

(出所:環境省 令和 4 年度(第 2 次補正予算) 公募要領(令和5年3月) 2023年9月6日閲覧)

2.過去の実施内容

1)CO2削減計画策定支援

令和3年度及び令和4年度では、72事業が支援を受けました(工場:35件、事業場:37件)。支援機関は、1事業あたり平均7対策を提案しています(最終的に事業者が「実施する」と判断した対策で実施計画を策定)。

(出所:環境省 令和5年度 SHIFT事業リーフレット 2023年9月6日閲覧)

<計画されたCO2削減対策の例>

  • 空調設備の更新(吸収冷温水機からヒートポンプチラーへ)
  • 蒸気ボイラ/燃焼炉の更新(重油・灯油式からガス式へ)
  • 給湯設備の更新(温水ボイラからヒートポンプ給湯機へ)
  • 太陽光発電設備の導入
  • 蒸気配管の断熱、蒸気ドレンの回収
  • 空気圧縮機の圧力低減

2)省CO2型設備更新支援

令和3年度及び令和4年度では、193事業が支援を受けました(工場:81件、事業場:112件)。

(出所:環境省 令和5年度 SHIFT事業リーフレット 2023年9月6日閲覧)

<補助対象対策の例>

  • 空調設備の更新
  • 蒸気ボイラの更新(重油から ガスへ) 
  • 給湯設備の更新(ヒートポン プ・ガス燃焼併用) 
  • 冷凍冷蔵ショーケースの更新 
  • 射出成形機の更新(油圧式 から電動式へ) 
  • 太陽光発電設備の導入

まとめ

いかがでしたか。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、政府は様々な制度を用意し、脱炭素化に向けた支援を行っています。SHIFT事業は、中小企業の脱炭素化を後押ししてくれる補助事業です。

当協会は、SHIFT事業の支援機関です(支援機関:環境省が定める資格・経験要件で公募する登録制の機関)。SHIFT事業がスタートした令和3年度から毎年支援機関に採択されており、支援実績も豊富です。
エネルギー管理士などの専門員を全国各地に有しており、幅広い業種・設備に対してご支援が可能です。脱炭素ロードマップの策定や、TCFD、CDP、SBTなどの支援実績もあり、脱炭素経営の全般を支援致します。SHIFT事業にご興味がありましたら、是非一度当協会までお問い合わせください。

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