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IDEA・ライフサイクルインベントリを解説!
更新日:2024.04.18
目次
- ・脱炭素経営とLCA手法
- ・IDEAとは?
- ・IDEA使用シーン例
- ・サプライチェーン排出量の算定
- ・まとめ
脱炭素経営とLCA手法
気候変動の影響や温室効果ガスの排出に対する社会的な関心が高まっている昨今、企業や組織は脱炭素経営を求められています。脱炭素経営とは、気候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営のことです。
従来、企業の気候変動対策は、あくまでCSR活動の一環として行われることがほとんどでした。しかし近年では、気候変動対策を自社の経営上の重要課題と捉え、全社を挙げて取り組む企業が大企業を中心に増加しています。
脱炭素経営を実現するためには、まず、企業や組織の製品やサービスがどれだけの温室効果ガスを排出しているのかを把握する必要があります。商品・サービスの原料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通しての環境負荷を定量的に算定する手法として、LCA(Life Cycle Assessment)があります。
LCAでは、まず、対象製品のライフサイクルを通じて排出される二酸化炭素や消費する金属資源の量、発生する廃棄物などの環境負荷物質の量を計算します。これをライフサイクルインベントリLife Cycle Inventory:LCI)と言います。
(LCIについて参考:国立環境研究所ホームページ 2023年5月16日閲覧)
IDEAとは?
環境負荷等を計算するために、間接的に関係するデータについては、インベントリデータベースを使用することが一般的です。様々なデータベースが存在しますが、日本で代表的なものが、産業技術総合研究所が開発しているIDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)です。
IDEA Version 3.2は、約4,700種類の農・林・水産物、工業製品等の日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質(CO2をはじめ、NOx、SOx,PM2.5、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛などの化学物質の排出、鉄や銅などの資源消費)を定量できるデータベースです。また、原単位あたりの環境負荷量の数値を提供するだけでなく、各製品の製造プロセスの入出データも提供いたします。また、インベントリデータは経年とともに変化するため、1年ごとに更新データを提供していく予定です。
(出典:インベントリデータベースIDEAの提供 – LCA活用推進コンソーシアム)
IDEAは基本的に有料です。入手方法・使用方法はバージョンにより異なりますので、国立研究開発法人産業技術総合研究所 IDEAラボの「IDEAの提供」をご確認ください。
IDEA使用シーン例
サプライチェーン排出量の算定
サプライチェーン排出量算定のための情報を収集していて、この記事に辿り着かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
IDEAは、Scope3を算定するために必要な排出原単位のデータを提供しています。
環境省はIDEAv2の特殊ライセンスを取得しています。このライセンスによって、環境省から使用を許可されたエンドユーザーは「自組織のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量算定」を行う目的に限ってIDEAv2を使用することができることになっています。
(参考:環境省・経産省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム、 LCA活用推進コンソーシアム Scope3算定ツールの提供 2023年5月16日閲覧)
まとめ
環境負荷の見える化は、今後ますます重要性を増していきます。エネルギー消費量、温室効果ガスの排出量、水使用量、廃棄物の発生量などのデータを可視化することにより、企業や組織、個人は自身の環境負荷を評価し、改善策を見つけることができます。
LCA等の手法は、私たちが現在の状況を正確に把握し、負荷削減するための適切な対策を講じる上で欠かせないツールです。具体的なデータに基づいた目標を設定し、進捗を追跡することで、効果的な環境管理や持続可能な経済活動を実現することができます。
この記事が、御社の課題解決の一助となれたなら幸いです。
環境エネルギー事業協会には、エネルギー管理の専門家が多数在籍しております。
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